エニアグラムの3つのセンター(ガッツ・ハート・ヘッド)とは?

「エニアグラムのセンターってなに?」

この記事ではそんな疑問に答えてエニアグラムのセンターとはどういうもので、どのように理解して活かしていけばよいのかについて解説していきます。

この記事では、私が心理カウンセラー・エニアグラムファシリテーターとして100名以上の方とのセッションや企業研修を行ってきた経験をもとに、エニアグラムの核心である「3つのセンター」に焦点を当て、その概要や各センターの特徴、成長のためのヒント、コミュニケーションのコツについて詳しく解説していきます。

目次

エニアグラムの3つのセンターとは?

エニアグラムの9つのタイプは、「ガッツセンター」「ハートセンター」「ヘッドセンター」の3つのセンターにそれぞれ分類されます。

3つのセンターは、人が世界をどのように認識しているかということや、人が自然に使っている感覚の中心がどこなのかを示す指針になるものです。

ガッツセンターの人は腹(体)、ハートセンターの人は心、ヘッドセンターの人は頭の感覚を中心に使っています。

各タイプはどのセンターに属している?

1~9までの各タイプがどのセンターに属しているかというと、

ガッツセンターがタイプ8,9,1

ハートセンターがタイプ2,3,4

ヘッドセンターがタイプ5,6,7

となります。

それぞれのセンターの特徴と、センターの観点から見た各タイプの特徴については本記事の後半で解説します。

センターの概念の重要性

センターの概念を正しく理解することは、エニアグラムを通して自己理解、他者理解、自己成長をしていくうえでとても大切です。

私たちのエニアグラム講座やタイプ判断セッションでも、センターの概念はかなり重要視しています。

センターは英語では「intelligence of centers」という言い方をすることがあります。
直訳すると、「認知の中心」というような意味です。
つまり、センターとは、人がどのようなフィルターを通して世界を見ているのかを示すものなのです。

それぞれのセンターが得意としている感覚はガッツセンターが「体」。ハートセンターが「心」。ヘッドセンターが「頭」です。

ざっくり言うと、

・ガッツセンターの人は、自分の体感覚で感じた直感を腹の感覚で捉えて世界を見ている。

・ハートセンターの人は、自分の気持ちや感情といった心の部分を中心に世界を見ている。

・ヘッドセンターの人は、自分の思考や状況分析といった頭で考えたことを中心に世界を見ている。

という感じになります。

この感覚を理解できると、自分と他人がまったく異なるフィルターを通して世界を見ていることが分かりますので、他者理解が進み、人間関係で悩むこともかなり減ります。

センターごとの特徴とタイプ

それでは、各センターごとの特徴とタイプについて解説していきます。

ガッツセンター

ガッツセンターの特徴

ガッツセンターは「本能センター」という言い方をすることもあります。

ガッツセンターに属するタイプは、タイプ8、タイプ9、タイプ1です。

ガッツセンターの人たちは体の感覚を最も得意としています。

理屈や気持ちよりも、直感や本能にしたがって腹の感覚で決断し行動する傾向があります。
このセンターの人たちの支配的な感情は「怒り」であり、「怒り」の感覚が無意識に思考と行動のパターンに結びつきます。

ガッツセンターのタイプごとの説明と特徴

タイプ8(強さを求め自己を主張する人)

タイプ8の人はパワフルで根っからのリーダー気質の人が多いです。
自己主張が強く自信家であり、また面倒見がよく親分肌な人も多いです。
タイプ8は「怒り」の感覚をストレートに表に出します。
その結果、支配的、威圧的といった不健全なパターンに陥ってしまうこともあります。

タイプ9(調和と平和を願う人)

タイプ9の人は調和とバランスを大切にするタイプです。
共感能力が高く、多面的な見方ができる人が多いです。
タイプ9は「怒り」の感覚を感じないようにします。怒ると調和と平和が崩れてしまうので、無意識に「怒り」を感じないようにするのです。
タイプ9にとっては、健全な「怒り」を感じることが成長のヒントになります。

タイプ1(完全でありたい人)

タイプ1は自分の中にある正義や正しさを大切にするタイプです。
責任感が強く何事も完璧にこなそうとする傾向があります。
タイプ1は「怒り」の感覚を抑え込もうとする傾向があります。「怒り」の感情をそのまま表に出すべきではないという抑制が働くからです。
その結果、タイプ1の「怒り」は内にこもったイライラとしたエネルギーになります。

ハートセンター

ハートセンターの特徴

ハートセンターは「フィーリングセンター」という言い方をすることもあります。

ハートセンターに属するタイプは、タイプ2、タイプ3、タイプ4です。

ハートセンターの人たちは心の感覚を最も得意としています。
ものごとの判断基準も、気持ちにしたがって心で感じたことを重視する傾向があります。
ハートセンターの人たちは自分の気持にも他人の気持ちにも敏感ですので、「自分は人からどのように見られているのだろう」ということを意識し、理想の自己イメージを作り上げることに意識が向きます。

つまり、自分の価値を他者からの評価に頼る傾向があり、しばしば恥ずかしさや虚しさ、何かが欠けているという感覚を抱きます。

この感覚を「恥」の感覚といい、「恥」の感覚が無意識に思考と行動のパターンに結びつきます。

ハートセンターのタイプごとの説明と特徴

タイプ2(人の助けになりたい人)

タイプ2の人は他者のニーズを察知する能力に長けています。
困っている人への支援や助けは惜しまないという人も多いでしょう。
タイプ2は「恥」の感覚を外部に表し、良い人のイメージを作り上げようとします。

タイプ3(成功を求める人)

タイプ3の人は目標達成や成功を追求し、効率的にものごとをこなします。
理想的な自己イメージを追い求めるために、自分の本当の気持ちを見ないようにする、感情から遠ざかる傾向があります。
タイプ3の人は「恥」の感覚を遠ざけ、理想のイメージを作り上げようとします。
タイプ3にとって、自分の本当の気持ちと向き合うことが成長のヒントになります。

タイプ4(特別な存在であろうとする人)

タイプ4の人は感受性が豊かで共感力が強い人です。
自分のユニークさや個性を大切にし、創造性が豊かな人も多いです。
タイプ4は「恥」の感覚を隠し、個性的なイメージを作り上げようとします。

ヘッドセンター

ヘッドセンターの特徴

ヘッドセンターは「思考センター」という言い方をすることもあります。

ヘッドセンターに属するタイプは、タイプ5、タイプ6、タイプ7です。

ヘッドセンターの人たちは頭の感覚を最も得意としています。
自然と状況や場の雰囲気などを観察し、その観察結果にしたがってものごとを判断します。
ヘッドセンターの人たちは無意識レベルで自分がいる場の環境を観察し、将来のできごとを予測し、そのできごとにどう対処するべきかということを考えています。

しかし、ヘッドの感覚に頼りすぎると、自分の思考や予測にとらわれて行動が起こせなくなります。
この感覚を「不安」の感覚といい、「不安」の感覚が無意識に思考と行動のパターンに結びつきます。

ヘッドセンターのタイプごとの説明と特徴

タイプ5(知識を得て観察する人)

タイプ5の人は聡明で分析力に優れています。
好奇心や探究心が豊かで、興味のあることは徹底的に調べ、理解しようとします。
タイプ5はときに知識と論理で武装した思考の世界にとどまろうとします。
心の中に引きこもることで「不安」をごまかそうとするのです。

タイプ6(安全を求め慎重に行動する人)

タイプ6の人はフレンドリーで責任感の強い人です。
面倒見がよく、人との調和を大切にします。
タイプ6の人は「不安」の感覚を遠ざけるために、人につながろうとしたり、あるいは離れようとしたりします。

タイプ7(楽しさを求め計画する人)

タイプ7の人は明るくて楽天的な人です。
好奇心旺盛で行動力のある人が多いです。
タイプ7は何らかの活動で心を忙しくさせることで「不安」を遠ざけようとします。

各センターの成長のヒントとセンター間のバランスを取る方法

エニアグラムを単なるタイプ分類だけに使うのはもったいないです。
エニアグラムを人生の知恵として活かし、自分を成長させるためのツールとして使うことにこそエニアグラムを学ぶ意味があると私たちは考えています。

3つのセンターには、それぞれの良い面と同時に、それぞれの囚われや課題もあります。
ここではセンターごとの成長のヒントとセンター間のバランスを取る方法をお伝えします。

センターごとの成長のヒント

各センターにはそれぞれ長所がありますが、自分のセンターの力だけに頼ってしまうと、その長所が短所に変わってしまいます。

たとえば、ヘッドセンターが頭ばかり使っていると、頭でっかちで行動が伴わなくなってしまいますし、ガッツセンターが直感ばかり使っていると、計画性がなく常に体当たりというような感じになってしまいます。

そうならないためには、各センターごとに下記のような考え方を取り入れるとよいでしょう。

各センターの成長のヒント

・ガッツセンターの成長のヒント
感情や他者の意見を尊重し、自己主張を柔軟に行うことでバランスを取るとよいでしょう。

・ハートセンターの成長のヒント
自己価値を内面から見出し、他者との関係性を健全に保つことを意識するとよいでしょう。

・ヘッドセンターの成長のヒント
感情や直感を重視し、知識や論理だけに頼らない柔軟な思考を身につけるとよいでしょう。

3つのセンターのバランスを取る方法

また、エニアグラムでは3つのセンターのバランスを取ることも大切だといわれています。

3本脚の椅子をイメージしてください。
1本の脚だけ長かったり、あるいは短かったりすると、バランスを崩して倒れてしまったり椅子として機能しなくなってしまうでしょう。

これと同じように、エニアグラムのセンターの概念においても、3つのセンターをバランスよく活かすことが重要なのです。

そのためには、自分が属しているセンター以外の2つのセンターの力を育てることが大切です。
3つのセンターそれぞれの力を育てるヒントを紹介しますので、参考にしてください。

3つのセンターのバランスを取る方法

・ガッツセンターを育てるヒント
腹のエネルギーを使う。
行動力を高めて、自己主張や意思決定を積極的に行いましょう。

・ハートセンターを育てるヒント
心のエネルギーを使う。
感情や他者への共感を大切にし、人間関係を豊かに築く努力をしましょう。

・ヘッドセンターを育てるヒント
頭のエネルギーを使う。
論理的思考や知識の獲得を通じて、ものごとを客観的に捉える力を高めましょう。

他のセンターとのコミュニケーションのコツ

エニアグラムの各タイプのことを知ることで他者理解が進み、コミュニケーションに活かすことができますが、センターの概念を知って意識するだけでも、他者とのコミュニケーションは抜群に良くなります。

各センターの人とどのように向き合うと良いか、ポイントを紹介します。

各センターとのコミュニケーションのポイント

・ガッツセンターの人とのコミュニケーションのポイント
率直な意見交換を重視し、主張を明確に伝えましょう。
「腹を割って話す」という意識が大事です。

・ハートセンターの人とのコミュニケーションのポイント
感情や共感を大切にし、相手の気持ちやニーズに配慮しましょう。
感じていることを素直に伝え、相手と気持ちを分かち合うことを意識するとよいでしょう。

・ヘッドセンターの人とのコミュニケーションのポイント
論理的な根拠や情報を提供し、理解を深める努力をしましょう。
あいまいで抽象的な言葉ではなく、ロジカルに分かりやすく伝えることを意識するとよいでしょう。

まとめ

エニアグラムの3つのセンターは、自己理解や自己成長、さらには人間関係の向上に役立つエニアグラムのなかでもとても重要な概念です。
各センターの特徴や課題、成長のヒントを理解し、異なるセンターの人々とのコミュニケーションのコツを活用することで、より充実した人間関係を築くこともできます。

また、自分のセンターの力だけではなく、他のセンターの力もバランスよく活かすことで自己成長にもつながります。

ぜひエニアグラムの3つのセンターのことを理解し、より良い人生の知恵として活かしてください。

自分のエニアグラムのタイプを明確にしてより良い人生の指針として活かしたい方には、タイプ診断のセッションも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

エニアグラム探究セッションの詳細

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この記事を書いた人

心理カウンセラー・セラピスト/エニアグラムファシリテーター/Webクリエイター

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